伊藤園から生まれたジャスミンの香水「Crazy Jasmine」
2026年10月30日、ジェイアール名古屋タカシマヤのポップアップショップ「Crazy Jasmine(クレイジージャスミン)」を訪ねました。
「お茶の伊藤園から、ジャスミンの香水ブランドが生まれた」
そう聞いてから、ずっと気になっていた香水です。ジャスミンは、私にとって特別な植物。春には庭でハゴロモジャスミンが咲き、以前勤務していた博物館の薬草園の温室では、ジャスミンサンバック(マツリカ)の香りに何度も出会ってきました。今は教室でも、ジャスミンのアブソリュートを教材に使っています。

パンフレット
ジャスミンに夢中になった人が生んだブランド
「花の姿を知りたい」から始まった
Crazy Jasmineは、伊藤園の社内ベンチャー制度から生まれたジャスミン専門のフレグランスブランドです。ブランド名には「ジャスミンに夢中(Crazy for Jasmine)」という思いが込められています。
立ち上げたのは、Crazy Jasmine Tokyo代表取締役社長の向田陽子さん。伊藤園で17年間、ジャスミン茶飲料「Relax JASMINE」のパッケージデザインを担当されてきました。
きっかけは、パッケージに描くジャスミンの花を知りたくて、自宅で育て始めたこと。咲きたての花の香りにすっかり魅了され、「この香りを一年中楽しみたい」と、生花の香りを再現する香水づくりが始まったそうです。約3年の実証を経て、2026年5月1日には新会社が設立されました。
植物への小さな好奇心が、ひとつの事業になる。同じく植物に魅了されてきた者として、とても共感しました。

ポップアップショップの展示

4つのジャスミンを嗅ぎ比べて
会場では、No.1、No.2、No.3、No.5の4種類を試せました。同じジャスミンでも、印象はそれぞれ違います。




香りの印象
- No.1 Jasmine Sambac:咲きたての花を思わせる、みずみずしく清々しい香り。
- No.2 Jasmine Green:葉や緑を感じるハーバルな香り。ジャスミンにこんな軽やかな表現があるのかと驚きました。
- No.3 Royal Jasmine:甘く、ウッディーで落ち着いた香り。ジャスミンの奥行きを感じます。
- No.5 Jasmine Jasmine:No.1とNo.3の良いところを合わせた、華やかな香り。
私が選んだのはNo.5です。花そのものの香りに、香水ならではの華やかさが加わっています。展示の札には、ジャスミンの精油を贅沢に配合していて余韻が続く、とありました。

庭と温室で出会ったジャスミン
春の庭に広がる、ハゴロモジャスミンの香り
我が家の庭では、毎年3〜5月頃にハゴロモジャスミンが咲きます。
ハゴロモジャスミン
- 学名:Jasminum polyanthum Franch.
- モクセイ科ソケイ属、中国原産のつる性植物
細長いピンクのつぼみが開くと、白い星形の花に。花が一斉に咲くと、庭じゅうが甘い香りに包まれます。
ちなみに「ジャスミン」と呼ばれる植物は、ソケイ属以外にもあります。教室でもよくお伝えしますが、植物を知るときは、和名や流通名だけでなく学名を確認するのが大切です。

温室の扉を開けた瞬間にわかった
博物館に勤めていたころ、薬草園の温室ではジャスミンサンバックを育てていました。
ジャスミンサンバック(マツリカ)
- 学名:Jasminum sambac (L.) Aiton
- モクセイ科ソケイ属、英名 Arabian jasmine
忘れられないのは、花が咲いている日は、扉を開けて中に入った瞬間に、香りでわかったこと。姿を見る前に、香りが「咲いていますよ」と教えてくれるのです。
ジャスミンティーも、このサンバックの花の香りを茶葉に移して作られます(着香)。今回のブランドがジャスミン茶の仕事から生まれたと聞いて、植物と香りのつながりを感じました。

サンバック

ジャスミンのアブソリュートを嗅ぎ比べる
教室にある3本のアブソリュート
ジャスミンの花は水蒸気蒸留による採油が難しいため、溶剤抽出で得られるアブソリュートが使われます。
私の教室には、ジャスミンのアブソリュートが3本あります。ソケイジャスミン(Jasminum officinalis)が2本、ジャスミンサンバックが1本。並べて嗅ぐと、同じ「ジャスミン」でも違いがはっきりわかります。同じ種類でも、産地や製造ロットで香りは変わります。実際に嗅ぎ比べることが、いちばんの勉強になります。

香りを構成する成分
教材では、ソケイジャスミンのアブソリュートの主な成分として、次のものが挙げられています(数値はプラナロム精油の平均的な含有量)。
- エステル類:酢酸ベンジル(10〜30%)、安息香酸ベンジル(10〜30%)、酢酸フィチル(3〜10%)
- ジテルペンアルコール類:フィトール(5〜15%)、イソフィトール(5〜10%)、ゲラニルリナロール
- モノテルペンアルコール類:リナロール(3〜10%)
- そのほか:α-ファルネセン、cis-ジャスモン、オイゲノール、ジャスミンラクトン、インドール
エステル類が大きな割合を占め、ジャスモンやラクトン、インドールなどが加わって、複雑な香りになります。成分は植物種や産地で異なり、サンバックでは組成が変わります。香りが強いので、使うときは低濃度にし、原液は肌に塗布しません。
生花、アブソリュート、香水
今回あらためて思ったのは、同じジャスミンでも、香りの表現はいろいろあるということです。
庭や温室で嗅ぐ生花の香りは、開花の段階や時間、気温で変わります。アブソリュートは、花の芳香成分を抽出した濃厚な天然香料ですが、生花の香りと完全に同じではありません。そして香水は、天然香料も合成香料も使って、「こんな香りを表現したい」を形にしたものです。
大切なのは、天然か合成かの区別よりも、何を表現しようとしているのかという視点だと思います。Crazy Jasmineの香水からは、花の香りを丁寧に見つめたことが伝わってきました。
ひとつの植物に興味を持ち、育て、観察し、香りを追いかける。そこから新しい仕事が生まれていく。私もこれからも植物と香りを学び続け、その楽しさを教室でお伝えしていきたいです。Crazy Jasmineのこれからを、楽しみに応援しています。
訪問記録
Crazy Jasmine POP UP
- 訪問日:2026年10月30日(金)
- 会場:ジェイアール名古屋タカシマヤ 1階 南エスカレーター横
- 開催期間:2026年10月28日(水)〜11月3日(火・祝)
- 購入品:No.5 Jasmine Jasmine オードパルファム
公式サイト:https://crazyjasmine.com/
Instagram:@crazy.jasmine.official
※個人的に訪問し、購入した商品の体験をもとに書いた記事です。企業から依頼された広告ではありません。
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